昨今、プロ野球選手になるには、高校、大学、社会人で活躍し、素質を見出され、スカウトの目に留まり、指定期間にプロ志望届を出した選手がドラフト会議にかけられ、球団から指名され、プロ野球選手になります。
プロ野球選手はその名の通り、「プロ」なので、自分の野球技術が商売道具であり、それを日々グランドの中で磨き続けます。
この磨いた技術を一軍の試合の中で発揮し、チームの勝利に以下に貢献できたかによって来年度の年俸(給与)が決まります。
若い選手では10代から選手として成功し、高年俸を得る場合もありますが、これはプロ野球選手の中でもごく一部であり、大半は現役中一度も一軍に上がらずに引退する選手も少なくありません。
そうした選手に対し、球団はレギュラーシーズンが残り少なくなってくる9月末~10月頭にかけ、選手の技量、伸びしろ、期待度、怪我の具合、欠点の克服具合などを総合的に判断し「来年度の戦力になるか」という基準で選手の来季契約の継続否を戦力外通告という形で通達します。
では具体的に戦力外通告とはどういったものでしょうか?簡単に説明します。
戦力外通告とは
基本的に日本のプロ野球選手の球団が選手との契約できる期間は2月1日から11月30日まで。
選手と翌年また契約したい場合は、11月30日までに保留選手名簿という名簿に載せる必要があります。
この名簿に載ることで、翌年度も所属球団と契約する交渉が可能。
逆に11月30日までにこの名簿に載らない選手は、所属球団として翌年度のチームの戦力構想から外れていることを意味します。
選手に対して、球団が来季戦力構想から外れていることを選手に通達することを戦力外通告といいます。
自由契約と任意引退との違いは?
「戦力外通告」が聞こえてくる秋口には、同様に「自由契約」、「任意引退」の言葉も聞こえてきます。
それぞれの違いですが、
「戦力外」・・・結んでいる契約期間中はうちの選手だけど、来季の構想には入っていないので、契約期間がきれたらうちはもう契約しませんよ。という意味。
「自由契約」・・・今結んでいる契約を期間満了をまたずにうちの球団は破棄するので、他の球団と交渉してもらってもよいですよ。という意味。
「任意引退」・・・選手としてプレーをせず、球団をやめる。という意味。
になります。
なので、流れとしては
1.球団としてはA選手と今年の11月30日まで契約を持っているが来季戦力構想から外れている。
2.球団がA選手に対し、来季契約を結ばないため、本来であれば11月30日に自由契約選手として発表される。
3.ただ、A選手として来年も他のチームで野球選手を現役で続けたい場合、11月30日に自由契約を発表されてしまうと、他球団の秋季キャンプも終わっていて、自分をアピールする機会がなくなってしまう。
4.そうなるとかわいそうなので、球団としては、来季構想外の選手に対しては、できるだけ自由契約になることを早く伝える目的で、戦力外通告を早めに対象選手に通達することになった。
なぜ戦力外通告をするの?
プロ野球の選手は年齢とともに力、速さ、機敏さなどが失われていきます。
そうなると当然チームも弱体化するため、チームの力を維持するためには、新たな戦力を獲得する必要があります。
ただプロ野球の球団が維持できる選手数は70名までと決まっているため、新しい選手をドラフト、FA、トレード、テスト入団、外国人選手などで獲得するためには、活躍が見込めない選手、力が衰えた選手などをチームから放出する必要があります。
中には自分で体力、気力の限界を感じ、引退を選択する選手もいますが、球団としては来季戦力に含まれていないことを、戦力外通告という形で選手本人に伝えることで、チーム内の選手の獲得枠を増やし、新しい選手を獲得し、チームの活性化を目指します。
通達された本人や家族にとってはつらい通告ですが、チームが強くなるためには必要な作業になります。
戦力外通告を選手に通達する期間は?
戦力外通告は以下の2つの期間に選手に通達します。
第1次通達期間・・・
- 10月1日から全球団のレギュラーシーズン終了の翌日まで
第2次通達期間・・・
- クライマックスシリーズ全日程終了翌日から日本シリーズ終了翌日まで。ただし日本シリーズ出場チームは日本シリーズ終了の5日後まで
戦力外通告を受けた選手はどうなるの?
戦力外通告を受けた選手が取る道としては、
・そのまま現役引退
・12球団合同トライアウトを受験し、他球団からのオファーを待つ
・12球団合同トライアウトを受験せず、他球団からのオファーを待つ
・他球団からの秋季キャンプに招待され、その中で入団テストを受ける
あたりでしょうか?
12球団合同トライアウトは、今年や昨年以前に戦力外を告げられたものの来年度以降も現役を続けたい選手やBCリーグなど一つ下のカテゴリーからプロ野球を目指す選手などが試合形式で各スカウトの前で自分の野球スキルをアピールする場になります。
ここで、スカウトの目に留まれば、翌年の契約につなげられることもありますが、現実的にはその可能性はかなり低いです。
もしスカウトから声がかかる場合は、トライアウト終了から1週間の間に球団スカウトから入団や秋季キャンプでの入団テストの連絡などが本人に対し行われます。
この1週間で連絡がない選手は、翌年のプロ野球としての選手継続がなくなり、現役選手を目指す場合は、来年度のトライアウトまで待つことになります。
戦力外を通告された選手としては、最後のアピールの場が12球団合同トライアウトになります。
現役時代活躍し、球団に貢献した選手についてはコーチ、球団職員など第2の人生を送るためのポストが球団側から用意されますが、そうではない選手については、ここからサラリーマンになるか、自分で店を開くのか、会社を経営するのか、生活して行く上でいずれにせよ何かしら職に付くことになります。
ここまで野球しかしてきてない選手が、いきなり社会人としてのビジネスマナーを理解し、会社の組織になれることなどは非常に大変なようです。
最近高校で活躍した選手が、直接プロ野球に行かず、大学または社会人を経験してからプロ野球に行くのはこういった野球を辞めた後のことを考えた上での行動を考慮してです。
たしかに野球を終えてからの人生の方がはるかに長いですからね~。
まとめ
今年も10月に入り、第1次通達期間が始まり、各球団が発表し出す頃です。
甲子園でスタンドを沸かしたあの選手や侍ジャパンで活躍したこの選手ももしかすると・・・。
どの選手が戦力外になってしまうのか、プロ野球の別な観点での見どころなのかもしれませんが皆さんは如何でしょうか?
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